其処はどんな場所だろう




初めに神は


「創世記?」
「…!か…いえ、夜神さん」

此処は外だし相手は刑事だし自分は検察官だ
(それでも彼は自分の神であり私は彼の僕であり其処はきっと)

「こんなところで聖書なんか読んでるとちょっとオカシイ人みたいですよ  魅上」

さん、ときちんと綴られた声を聞き逃したわけではない
一言たりとも神の言葉を聞き逃したりなんかしない

「…そうですね」

それでも命じられたことに逆らう以上の罪があろうか!
不用意な自分を叱責なさらなかったその慈悲に縋る身で

「それで?」
「…はい?」

「創造」

…されたのです。

「それは当て擦りかな」
「!!?いえ…!?そんなつもりは毛頭!」

莫迦、冗談だよ?と婀娜めいた笑みを刻んで見せた相手に溜息を吐く。
お前は冗談通じないよね、などと言われてもこればかりはどうしようもない

「天と地を創るのは僕の役目じゃあないさ」
「それならば…水を」

命を潤すそれではない
街を人を押し流すだけの力を持った其れを

「ああ、ノアがお前というわけか」
「……畏れ多いことです。」

聖人を気取るには、自分には目の前の相手に対して抱くものが重すぎた。
正しい人、という意味を籠めた名を冠するには あまりに自分は矮小だ



「『正しい人』というのは『神に従う者』だという意味だというけど?」


別段本当に正しくなんかなくてもいいんだよ



囁かれた耳元は急激に熱を
貫かれた脳髄は急速に冷め

侮蔑にも似た嗤いは紛うことなき神の自嘲


つみのいしき?



「神!」

「大丈夫ですか魅上さん。やっぱりちょっとオカシイんじゃないですか?」

婀娜めいた笑顔。
それでも嘘は吐かないその人は 決して冗談だよ、とは言わなかった







みかみんはちょっと頭おかしいと思う。 其処がいいよ彼。
月も結構色々おかしい。
一挙両得。