消せない刹那の表情に




「つまり僕は結局お前と同い年にはなれなかった」

そう呟いた月は、Lがその言葉に率直に顔を歪めるのを見れたのでいっそ痛快だった。Lは如何にも憐憫以上の感情で月の肩を引き寄せる。無念の死を、遂げた月の余りの若さに嘆けば月は至って真面目な顔で、お前だって若かっただろう、忘れたのかとのたまった。


「七年間、お前と僕の差を埋めるには些か足りなかったみたいだね」



たった七年間さえもキラの世界は続かなかった、と月は心底悲しく思った。
たった七年間も続かない儚い夢だったのだとLは心底虚しく思った。

たった一年間も側に居れなかった。嗚呼もしも、例えば七年という時を共に在れたなら何かが変わっていたのだろうかとLは心底悲しく思った。

たった一年間も側に居れなかった。しかし、そのほんの短い時間が、二十六年にも届かなかった全ての価値を握っているのだと月は心底虚しかった。



(一年間共に在った)
(七年間の落差は埋まることなく)
(そしてこの先幾年経とうとも其れは)




「ごめんなさい」

本当に本当に。後悔よりも率直な感情で、彼の頬を滑り落ちる涙に懺悔した。