そして扉は開かれた




僕が

はじめてうそをついたのは
きっと転んだ傷を隠した笑み、強がり

はじめてひとをだましたのは
恐らく無意識、ああ僕はつまるところいい子だった

はじめてひとをおとしめたのは
クラスのあいつ、確か僕ばかりか父まで侮辱したあいつに対して
そうしてそれが最初で最後、口に出す必要なんてないと気づいたから


そしてはじめてひとをころしたひ
僕は眠りを失った

はじめてつみをさばいたひ
僕は確かに正義を?





―――その瞬間正義とやらは脆くも崩れさったのだ!


安らかなる君の横顔を、見つめている。 腕の中に崩れおちた体躯は、その背負った正義像みたいなものまで、 諸共綺麗さっぱり道連れにして、まさしくカタストロフィ!

閉じられた瞼は馬鹿馬鹿しいほど穏やか。
彼は死んだ!彼は死んだのだ! 神ではなくても彼は死んでしまった!

それは僕が殺したのだから、それもしかたの無いことなのだけれど?

「竜崎!…そんな、」

冷たい床に横たわり、僕の肩へ手を伸ばした彼。 少しばかり強すぎる力はでも、ちょっとした愛撫にも似ていて 一緒に崩れ落ちたものたちを纏わりつかせて彼は僕を凝っと見た

僕を、僕だけをただ
その際に目に映して



崩れ去ったLの正義
ならば勝ったのは僕だ

そうだろう?




はじめてひとをころしたひ
僕は眠りを失った

はじめてその連ねられた名前を見返したとき
僕は決めた

あたらしいせかいをつくればいい
はじめて、そう思ったんだ

ぼくがはじめて正義なんていう薄っぺらい言葉を
口に乗せたのは鮮烈な死刑台のビジョンの前

はじめて目の前が真っ赤になるほどの怒りを覚えたのは
不意に囁かれたなまえをきいたとき

ぼくは
はじめて他人を怖いと思った


ああそうだ

ひとにてをあげたのは、はじめてだった
こんなにずっと一緒にいたのも
馬鹿みたいな戯れをしたりしたのも

ぼくははじめてだった





勝ったのは僕
負けたのは彼

でも散らばりゆく正義を見て思う
”この正義は一体誰のもの?”





はじめてつみをさばいたひ
僕は確かに正義を?

でも

ぼくがはじめて正義なんていう薄っぺらい言葉を
口に乗せたのは鮮烈な死刑台のビジョンの前
お前が、口の乗せた其れをなぞり

だから

はじめてひとをころしたひ
僕は眠りを失った
「正義」だけは失わずに

そして

ぼくがはじめて正義とやらを失ったのは
間違いなく今この腕の中から。


「あ、ぁあぁああ、あ」


はじめてひとをころしたひ
僕は眠りを失った

初めて自分を殺した日
僕は

はじめてきみをすきだったと気付いた







First…最初というか寧ろ「最高」の意

First light…夜明
First Communion…初聖体<聖体の拝領>
…いやファーストレィディでもかまいませんよこの際(ええ

ちょっと言葉負け。もう一回くらいfirstな話は書きたい 兎に角えるえるの”初めて”がオフィシャルなんだから 神も屈辱だけじゃなく色々初めてでいいよ本当。

え?何がって(激しく下世話(台無し